《MUMEI》 「え〜、『翔子様』って一体何者?!」 汐里の質問に、私は『親戚』と答えた。 …間違ってはいない。 「なるほど、わがままお嬢か」 汐里はすぐに納得し、部屋の中にいた私以外の全員が大きく頷いた。 「で、余った着物でゆきに似合いそうなの、とっておいたの。 サイズ直し終わってたのが、これ。 あ、汐里ちゃんもよかったら何か持ってく? バックやアクセサリーもあるわよ」 「いただきます!」 紗己さんの提案に、汐里は嬉しそうに答えた。 (良かった) 私も汐里にお礼をしたかったから、紗己さんの配慮が嬉しかった。 着物を着付けてもらい、髪も何やらいじられ… 久しぶりに、化粧もされた。 「はい、終わり」 「素敵!」×4 女性陣の厳しいチェックが終わったところで、やっと晶は入室を許された。 「どう?晶君」 リンリンリンリンリンリン 晶はとめどなく鈴を鳴らした。 「そんなにゆきは可愛い?」 リィン! 紗己さんは晶の返事に何度も『そうでしょう』と言い、晶がその都度鈴を鳴らすから、私はさすがに恥ずかしくなった。 「もう、…やめて」 多分、今私の顔は真っ赤だった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |