《MUMEI》 「じゃ、撮影会しますか」 「普通、記念撮影じゃない?」 「いいじゃない!綺麗よ!ゆき。 私もデジカメ持ってきたから撮るね!」 (二人共、テンション高すぎ…) それに比べて晶は静かだ。 喋れないから、当たり前だけれど。 「あの、私達も撮っていいですか? …携帯ですけど」 おずおずと、三人の女の子達のうちの一人が訊いてきたので 「…別にいいわよ」 笑顔で言ってみたら… 歓声をあげて、すぐに携帯を取りに行った。 それから― 何枚撮るのかというくらい、フラッシュが眩しかった。 気が付けば、銀色の光からもフラッシュの光が見えた。 「晶も撮ってる?」 リィン! 晶は喋れないけれど、テンションは他の皆と同じようだった。 そして最後にと… 全員で一枚と、それぞれとのツーショット写真を撮った頃には、辺りは暗くなり始めていた。 紗己さんが『せっかくだったら泊まっていったら?』と汐里を引き止めてくれたので、私はその日は晶ではなく、汐里の手を握りながら眠った。 いろいろあったけれど こんなに楽しい一日は、御剣に来てからは初めてだった。 前へ |次へ |
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