《MUMEI》
心配してない?
デザートも食べ終わり、まったりした雰囲気になる。


「次どうする?」


タツヤ君がまだ遊びたそうに言う。


「部屋に戻って飲みなおさへん?」


リナさんがまた勝手なことを言う…


部屋って誰の部屋よ!!


「じゃ、そうしよ」


鈴木も私に承諾を得ず決定する。


みんな本当に勝手なんだからー!


「ほな私とタツヤ君で買い出しに行ってくるわ。美樹子さんと鈴木君は部屋の用意やで!じゃ行こ」


部屋の用意って…特にないんだけど。




鈴木と部屋に戻るとCDを渡された。


「ベビー・フェイス貸してやるよ」


「いきなり何?」


「この間クラプトン聞いただろ」


結構、前の話のような気がするなぁ。いつだっけ?

あ、のんちゃんと小川くんと飲んだ時だ!


「それでベビー・フェイスのchange the worldを思い出して。こっちもなかなかいいから聞かせてやろうと思ってさ…」


そ、そうなの!?
よく分からないけど、すっごい嬉しい♪
けど…


「ありがと」


って、素っ気ない一言でしか嬉しさを表現できないなんて…私はバカだ。。。


「ま、いつでも良いからさ。聞いてみてな」


なんか…鈴木が優しい気がする。
やっぱり詩織さんのこと、立ち直れてないのかな…


「その後どう?」


さりげなく聞いてみる。


「タツヤと毎日ギター弾いて…飲んで…楽しいよ」


「なら良かった。実は…少しだけ心配してたんだ」


鈴木が意外そうな顔をする。


「ほら!試験前にアル中みたいになってたこと、あったでしょ…だから」


こんなこと…鈴木に言うのは照れ臭い。


「お前が俺のことそんな風に思ってくれるな……」


恥ずかしさを隠すために鈴木の言葉を遮った。


「勘違いしないでね!アル中の鈴木を知ってるから心配しただけだから…」


「分かってるよ。にしてもお前は冷たいなぁ。友達なんだから、常に心配しろよな!」


た、たしかに…

下手に否定した分、意識してるのバレバレじゃん!

あぁー、もうっ、私のばかぁーっ!

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