《MUMEI》
ひとりぼっち
マネージャーと仕事の打ち合わせしながら、久し振りに外食。





自分でやるには億劫な天ぷらをチョイスして遠慮なく腹いっぱい食べた。





何作かオーディションの知らせを渡され、力いっぱい気合いを注入される。








さすがにマネージャー。





タレントはおだてて育ててなんぼだね。





僅かばかりのタクシー代渡されてさよならした。





何となくタクシーの気分でもなく、かと言って電車に揺られる気分でもない。






何駅分か歩いてしまえと俺は夜道を進む。





内藤にみっともないとこ見られた。退いてたしな…きっともう連絡ないだろう。




最悪な失態を打ち消すかの様に歩きながら内藤のアドレスを消去する。





今日は裕斗、伊藤さんとこに行くって言ってたし…、夜ひとりで過ごさなきゃいけない。



最近ひとりだと何故か寝つけない。



そうなるともう次の日最悪。

昼寝もひとりじゃ寝つけないからどんどんボロボロになる。



――少しづつまた、あの頃のように、心が壊れてきているのが自分で分かる。



スイッチが入ると心が弾け感情が抑えられなくなる。



空気が薄くなり酸素を求める。




明日…久しぶりに病院行こうかな…。






結局7駅も歩いて自宅に着いた。




疲れ果てた躰に酷く興奮した脳がアンバランスに襲いかかる。




ベッドにひっくり返った俺の視界に花が映った。




そういえば俺、内藤の事何も知らない。



彼は?



俺のどこが良かったんだろう…。












…でも、もう…いいか。

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