《MUMEI》

ただ、神は今まで必要無かったので、自慰行為を行った事が無かった。

その分、自分の行為がひどく醜いものに思えて仕方なかった。


しかし…


「また、かよ…」


何気なく見た誕生日のゆきの着物姿の写真。


それだけで、達したはずのものが熱を帯びた。


別物…と言うより、体が正直過ぎるのだ。


愛するゆきに触れたいと

抱きたいと


男として当然の欲求を神は無理矢理抑えこんで、晶としてゆきに接している。


ゆきといる時は嫌われたくないから、我慢する。


しかし、夜になり、一人になると、昼間抑えつけた欲望が、ムクムクと起き出す。

それを、自分で毎晩鎮める。


毎日がその繰り返しになった。


この夜も。


二度目の絶頂の後、ようやく神は眠りについた。


ずっとずっと手は出さないから


我慢するから


別物の下半身は、何とか鎮めるから


(離れないでくれ)


神は、最近不安になっていた。

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