《MUMEI》

「ごめんね?
でも、一人でも、この位はしたいの」

リィン リィン


「…過保護すぎません?」
様子を見ていた美幸さんが口を開いた。

「心配なの!」

リィン!

紗己さんと晶は抗議した。

「ん〜、でも、ゆき様、ちゃんと歩けてましたし、私の事もすぐわかりましたよ。

この位は一人で大丈夫じゃないですか?

離れに危険人物はいないわけですし」

『危険人物』

私が真っ先に思い浮かんだのは、

「当主って、ここに来る?」

神君だった。


「いいえ。最近は、翔子様とラブラブです」

「そう、なの?」

「はい」

(何だ…)


やっぱり私の事などどうでもいいのだ。

どうでもいいのに、あんな事をしたのだ。

私は、唇を噛み締めた。


「ゆき?」


心配そうな紗己さんの声に、私はハッとした。

「…他の『守護神』ってどうしてるの?」

慌てて話題を変えてみた。

「実は…」


その内容に、私は驚いた。

明良さんが

火の『守護神』では無くなった。

理由は、私とは違い

明良さんより力のある火の『守護神』が誕生したからだった。

しかも…

「女性?」

「はい」

私の言葉に美幸さんは頷いた。

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