《MUMEI》

「だから、あの双子もそっちに夢中なんです」

あの双子とは

水の『守護神』の左近さんと

地の『守護神』の右近さんの事だった。

「そうなの…」


私の知らない間に、いろいろな変化が周りで起きていることに、私は驚いた。

同時に、いつまでも立ち止まっている自分がもどかしくなった。

そして私は、翌日から一人で洗面所に向かって、洗顔と歯磨きを行うようになった。

(心配なんだろうな…)

正確には、紗己さんと晶に見守られて。

振り返らなくても

二人の気配はすぐにわかるようになっていた。

それから、私は入浴も一人でするようになり


桜が満開になった頃。

紗己さんは、私の部屋ではなく、自分の部屋で眠るようになった。

そうしてほしいと私が頼んだ。

紗己さんには、自分の時間も持って欲しかったから。
紗己さんは、洗濯と食事の配膳だけは続けてくれた。
「洗濯させてもらえるだけ、最初よりましね。

…考えてみたら、ゆきはあまり人を頼らないものね」
紗己さんは、少し寂しそうに言った。

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