《MUMEI》 神槍「くそ・・槍に頼りすぎていたのか・・」 毒づきながらも一人で数十人相手に馬車を守り通している。 「悪い、こいつが愚図ってよ!!」 「降ろしてください、一人で歩けます!!」 「・・・風よ、私の声に答えて!!」 ズォォォォォ!! 暴風が禾憐を中心に巻き起こり、周囲の兵を吹き飛ばす。 「よし・・行くぞって・・アレ?」 ドシャリ・・ セイが倒れる。 「セイ!?」 ロゼが慌てて助け起こすが・・ 「あ・・気にすんな、大丈夫だ。」 「な・・」 ロゼの手は血に染まっている。 立ち上がろうとするセイの体はヴィアとの戦いですでに傷だらけ。 夜の闇で見えないが、その服は血で染まっている。 「っ!」 リースと禾憐が敵を抑えているが・・このままでは動けない。 「っとに・・役に立たないんだから!!」 不安げな表情を隠すように、風を使役し次々と現れる敵をなぎ払う。 「セイは私が、二人で道を・・お願いします!!」 セイを抱き上げるロゼ。 ビシャリっと衣服がセイの血に汚れるが、狂気には染まらない。 確かな理性を保ってリースと禾憐に頼み、移動を開始する。 「元より、そのつもりだが・・こう数が多くては!!」 鎧ごと敵を貫くが槍が砕け、即座に手放す。 「ダメ・・こっちも。魔力が空じゃキツイ・・」 禾憐は元々、接近戦には向いていない。長時間の拘束により魔力を奪われている今の状況では・・大きな術も使えない。 「そちらの方、・・「想月の槍」では?」 ロゼがリースに向かって声をかける。 「姉さんの事です。私では無い。」 「・・・」 何かを考え込むように一瞬目を伏せるロゼ。 「槍は使えるのですね?」 「多少は・・」 リースの言葉に頷いたロゼは右手を前に出し目を閉じる。 カシャン・・ 再び開けた目に写るのは古びた姿の「グングニル」 「コレを・・少なくとも、折れる心配はありません。」 リースに向かって投げ渡す。 前へ |次へ |
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