《MUMEI》

そんなある日、
君が声をかけた。

いつもの屋上で。

「なあ、ここになんか落ちてなかった?」


君の声は思ったより、しっかりしてて、なんだかびっくりした。

「え?この写真の事言ってんの?」


私がちぎれた海の写真を見せると、君は安心したかのように微笑んで、
「ありがとう」
とつぶやいた。


嬉しかった。君と話ができて。君の声がきけて。


でもひとつ気になる事があった。海の写真を、なんだか大切にしてる気がする。

私は深呼吸をして、ゆっくりと言った。
「ねえ…」


「なに?」


その海の写真何?
と続けようとする私。
でも言葉がなかなか出ようとしない。


いつの間にか、からだが震えてる。


「…君って何組?」


君は、きょとんとした顔をして

「…三組」

優しく答えてくれた。


多分聞いちゃいけないんだと思う。



聞いたら、君が離れて遠くへ行きそうだから。


いつまでも側にいたい。


きみの優しい声が、聞ける場所で。

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