《MUMEI》
*林檎*
「あ、そうだ咲也」

「?」

「林檎‥食べる?」

「お、あるのかっ!?」

「あるよ、持って来たの。今切ってあげるね」

咲也は

林檎が大好きなんだ。

だから

林檎を持って来た。

咲也に

食べてもらいたくて。

「はい、どうぞ」

「サンキュ♪」

咲也のほっぺた

林檎みたいな色になった。

ちょっと

可愛いかも‥。

「ん、どした?」

「ぇ、ぁ‥、う、ううん、何でもない‥。──ね、美味しい?」

「うん。菜花が切ってくれたリンゴ食べるの久し振りだな〜」

「ふふ、まだあるからね」

あたしは

ちょっぴり

幸せだった。

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