《MUMEI》 神が感じていた通り、紗己は既に神を許していた。 ゆきの相手として、認めてもいいと思っていた。 しかし、当のゆきは― まだ、神を受け入れられない。 まだ、立ち直っていない。 この状態で神が己の性欲に負けては困るのだ。 だから、紗己は『未だに許していない』と言ったのだ。 半年以上ゆきに償う神を側で見てきた紗己が、言う言葉は、重く響いただろう。 『まだ、自分は誰にも許されていない』 その想いがあれば、まだ神は性欲を抑えこめるはずだと、紗己は考えた。 だから、精一杯 『嫌な女』を 『演じた』 ゆきと、神の為に。 前へ |次へ |
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