《MUMEI》

―ニ日後

『…っっ!!!』
結「うひょ〜!」
ナ「ギャアーー!!」
佳「いゃーー!!」
さ「いぇ〜い!」
サ「だぁーーー!!」


絶叫マシーン。

塾の休みに合わせてくれて、みんなで市外の遊園地に来た。

市内はまだお祭り期間。

葉子ちゃんは夏風邪だって言うから、一人一つ果物かお菓子を持って出発前に家にお邪魔して来た。


結「最高だったね!」

あたしは、絶叫マシーンの類いは声が出せない。

…目も瞑る。

サ「もっかい乗りたい!」

もちろん怖さからでもあるんだけど、でも好き。

怖いから楽しいみたいな。

佳「一回で良いからコーヒーカップかメリーゴーランドみたいのにして!」

これとは別に、昔から人の叫び声が怖い。

ナ「おしっこ漏らしそうになった!」

このメンバーのじゃあまり参考にはならないけど…

さ「漏らしたら絶交してた。」


もっと恐怖と怯臆、拒絶を足した感じ。

サスペンスのような叫び声がどうしようもなく怖い。

心臓がギュッてなって、一瞬息が詰まるような。

なんなんだろう?


でも、こういう楽しい叫びはまだへーき。



―夏休み終了三日前

『お腹いっぱい!』
「美味かったな♪」
「私の肉盗ったくせに!」
「頼むからお前ら仲良くして。」


あたし、篠崎、サユ、稲田で焼き肉の食べ放題に行って来た。

焼き肉食べたいねって話してて、これまたあたしの塾の休みに合わせてくれた。


篠「ダブルデートみたいだね?」
サ「一葉と私、篠崎と稲田の?」
稲「レズとゲイかよ。」


あの花火大会の日。

さつき風に言うと、「二人っきりのチャンス」の時に…稲田は告らなかった。

だから、片想いのサユの居る場だし稲田に声を掛けてみた。

サユが篠崎を呼んだ理由は…頭数?


『服、焼肉くさいねぇ。』

篠「…これ。」

『?…あ!』

篠「好きなんでしょ?どぞ♪」


いい匂いの素、○K-be!!

これの15mlのミニボトル。


『…付ければ良いの?焼肉臭と混ざらない?』

篠「じゃあ、焼肉臭がない時に付けたら良い。」

『?』

篠「…だから、あげる。」
『へ?』
篠「要るの?要らないの?」
『要る!』
篠「はい♪」
『ありがとう…!あたしも何か…篠崎、誕生日は?』
篠「ん?…先月だけど?」
『え?!』
篠「俺、納豆(7,10)♪」



サユと稲田はあたし達のやりとりを、ただ傍観していた。

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