《MUMEI》
足止め
「先行している者か・・後退する!!アルトレア様と合流するのが先決だ!!急げ!!」
ヴィアの号令に従い、騎馬による全速行軍が始まる。
例え、追撃を受けても相手はごく少数。
後退しながらの迎撃で十分倒せる。

「ち・・逃がすか!!」
バンプの疾走は「風姫」の速度の上を行く。
次第に追いつき・・
ギィン!! バギィン!!
疾走の勢いもそのままに爪を振るうが、見事に防がれる。
「がぁああああ!!」
馬上から叩き落すように爪を叩きつけ、ようやく一人仕留めるが・・その間にも距離が空いていく。
ブン!!
咄嗟に振るった爪によって幾つかの魔法を掻き消す。
移動しながらでも精密にバンプを狙った攻撃、威力も無視できるレベルではなく容易く避けれるレベルの物でもない。
「厄介な・・」

パリン、パリン!!
空中を駆け抜けていく影。
氷が砕け、散っていくが気が付く人物は居ない。
「蒼海・・虚ろなる海より呼び起し、プリウェンの力を持って・・」
上空を駆け抜けるのはレイ、片手には「蒼海」を、片手には彼女の剣「プリウェン」を。
レイの周囲の空気が次第に凍り付いていく。
その足元には氷の薄い足場。踏むたびに砕け、今より一歩先に生み出される。
目指すは「風姫」の先頭。
「大海の水は・・大地を穿つ。」
バリン!!
踏み砕かれた氷が空中に散っていく中、「蒼海」が振り下ろされる。
バシャアアアン!!
振り下ろされた「蒼海」の刃は水の斬撃。
「風姫」の進む先を塞ぐかのように巨大な水壁が放たれる。
「絶対零度の音は・・全てを凍てつかせる。」
キィィィィィン!!
「蒼海」と「プリウェン」を打ち合わせ、高い金属音を響かせる。
響く音はレイの魔力によって神音となり・・
周囲の空気を一瞬で凍てつかせ、「蒼海」が放った水さえも完全に凍りつかせる。
造られた氷の壁は「風姫」の進路を完全に塞ぐ。
数百メートルにわたって氷の壁が出現したような状況。
横に回れば抜けていけるが、バンプたちはその隙を見逃さない。

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