《MUMEI》 「いたい……」 歯形付いたかも。 「生殺し続いてるのに、我慢してるんだよ?よく、堪えているよ俺は……」 どうしてこんな粗野に育ってしまったかな……。 乙矢が言う通り甘やかしたのが原因か? 「悪かったって、俺が全部悪いんだから……」 極力、優しいトーンで宥める。 「そうだ、ぜーんぶ二郎が悪い。」 コイツ……! まあ、落ち着け俺。 七生にはホントに悪いことをしているのだから。 今日こそ恥を偲んで言うべきだ。 「……七生が羨ましいよ。 好きなものを好きって言えて、抱きしめられる。 俺は臆病だからかな……、怖くなる。 昔からそうだった、初めて出来た彼女とそういう関係になっても流されただけで……結局、別れて。 原因は俺の消極的な態度と、上手く抱けない稚拙さ。 年下に寝とられたんだよ?情けなさ過ぎて笑える……。変だよね、水瀬のときはなんでも無かったのに。 七生に触られると時々、怖くなる。いなくなってしまうんじゃないかって……。躯が怖さを忘れようとして、無反応になるんだ。」 泣きそうだ……格好悪い。でも、やっと七生に伝えられた。 前へ |次へ |
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