《MUMEI》
理解
それからというもの、私と君は話すようになった。

最初は、ぎこちない質問。何が好きなのとか、何が食べたいとか。

君が優しく、細かく、ひとつひとつを答えてくれるから嬉しくて

一時間が終わるごとに、次は何を質問しようとか考えていた。



そんなある日だった。

私は勇気を出して質問してみた。



「ねえ、好きな人いる?」



さりげない質問。

ただの恋の話。


普通のひとが聞けば、そんな感じだと思う。



でも君は嫌だったんだよね。


君の過去の思い出を、無理やり引きずり出してしまった。


でもあの時の私は、なにも知らない可哀想な子だったから、君の一瞬の表情の変化に、これっぽっちも気がつかなかった。


少し沈黙があった後、君は口を開いた。

「いないよ」


…その時も優しく答えてくれた。


私はその言葉を聞いて、舞い上がってた。


良かった、チャンスがある。

好きになってもらえるかも。


なんて。



ばかだなあ、
君をもっと理解してれば良かった。



君をもっと
愛せば良かった。

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