《MUMEI》
秋の夜長
その日一日、私は『当主命令』で晶と一緒に、部屋に籠っていた。


今日は当主―

神君と


風の『守護神』―

翔子さんの


『婚礼の儀』


つまり、『結婚式』が本邸で行われた。


御剣の当主の結婚ということで、


御鏡の当主―


神音様も出席する。


神音様には、私は『原因不明の高熱にうなされ、失明して御鏡の力を失った』と説明してあるらしい。


とにかく


今の私と晶を見られるのは、御剣にとって、まずいから、ここにいてほしいと、スーツ姿の男性から伝えらられた。


「勝手よね」


夜になると、私の口からはつい愚痴がこぼれた。


披露宴はまだまだ続いてるらしく、離れに人はいなかった。


つまり


「二人きりね、晶」


私は何気なく言った。


晶は、少し間をおいて、鈴を鳴らした。


庭から聞こえる鈴虫の声にかきけされそうなくらい、控え目な音だった。


(こんな機会、滅多にないわよね)


私は最近疑問に思っている事を口にしてみた。


「最近、避けてない?」


リィン リィン


(そうかな?)


どうも、最近の晶はおかしい。


「本当に?」


私は晶の方に手を伸ばした。

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