《MUMEI》

リィン リィン

晶は否定したが

銀色の光は私から遠くなった。

晶が後ずさりしたのがわかった。


「大丈夫? 具合でも悪いの?」


リィン リィン


「そう?」


リィン


それっきり

私と晶の間に気まずい空気が流れた。

(何か、喋らないと)

晶は喋れないから、私が喋らなければならない。


(え〜と、え〜と)


話題、話題…


今一番の話題は…


「そ、そういえば、この部屋で生活するようになってもう一年以上経ったわよね」

リィン

「今は、だいぶ私、しっかりしてきた…よね?」

リィン


(うぅ…)


会話が続かない。


しかし、まだ、寝るのは早い。


眠くもならない。


昼間、何もすることが無くて、…


「昼寝がまずかったよね」

リィン


「晶も、眠くないよね?」

リィン


(困ったなぁ)


後は…


「神君と翔子さんが結婚かぁ…

意外だけど、お似合いよね」


無音


私は、独り言のように話し続けた。


「私の事は、やっぱりどうでもよかったのよね」


無音


「もの扱い…だったし」


思い出してしまった。

体が震える。

晶が私を抱き締めた。

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