《MUMEI》 「ありがとう、晶」 晶は一瞬で、すぐに離れた。 (情けないな) まだ、消えない心の傷。 「結婚なんて、無理よね」 リィン リィン 「いいの。私は、晶がいれば」 晶は、答えなかった。 「ゆき様、まだ起きてます?」 「あ、はい」 私は、ふすまを開けた。 「美幸さん、どうしたの?」 「もう神音様お帰りになりましたから、お風呂一緒に行きませんか?」 私は最近入浴も、使用人と同じ共同浴場でするようにしていた。 「あ、うん。 …いい?晶?」 リィン 私は美幸さんが用意してくれた着替や道具を持って、部屋を出た。 (美幸さんが来てくれて良かった) 何故だか… 最近の晶はよそよそしくて 気まずくて 私は、落ち着かなかった。 前は、こんな事は無かったのに。 どれだけ二人きりでいても安心だったのに。 前へ |次へ |
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