《MUMEI》

神は自室に一歩足を踏み入れた。

そのまま振り向かずにふすまを閉めると、ふすまに寄りかかるようにズルズルと座りこんだ。

大きくため息をつく。

手を伸ばしてティッシュの箱を引き寄せる。

ズボンと下着を下ろし、既に限界寸前のものに軽く触れた。

「…っ…」

すぐに飛び出た精液を、ティッシュで拭き取る。


久しぶりだったから、思った以上に量が出た。


神は再び大きくため息をつくと、ゆっくりと下着を履いた。


それから神は寝間着用の浴衣に着替えた。


いつもは、ゆきが使わなくなったゆきの部屋の近くにある客人用の風呂場で入浴していたが、今夜はそんな気力も無かった。


翌朝入ればいいと神は思い、布団を敷いて横になった。


今日一日は、神には長く感じた。


食事を美幸が上げ下げする以外は、ゆきの部屋で、ゆきと二人きり。


ゆきは昼寝をしたが、神はとてもそんな余裕はなく、気持ちよさそうに眠るゆきを前に、固まっていた。


だから、ゆきが入浴している間に、気付かぬうちに眠ってしまったのだ。


最初は本当に気付かなかった。

ゆきが体に触れている事に。

気付いた時は…

神の体に掛布団がかけられていた

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