《MUMEI》

それだけならまだ良かった。

目を開けた神は…

至近距離にゆきがいて、驚いた。

神と同じ掛布団の中で、向かい合い寄り添うようにゆきは眠っていた。

ゆきの寝息が、神の首元にかかる。

ゆきは湯上がりで、体からは石鹸の匂いがした。


本物の晶なら、この状態のまま、朝を迎えるはずだ。

突き放したら、疑われる。

神は、硬直していた。


別物の下半身が、敏感に反応している。


ゆきの太ももにそれがあたる。


神は、体の震えを、うっかりでそうになる声を必死で抑えていた。


すると、何故かゆきの手が動き出した。


目の見えないゆきは、何かを探るように神の体に触れてきた。


そんな事をされて、神の下半身はますます膨れ上がる。


ゆきの手が、ズボンのポケットに入ってきて、それに触れた。


あの後の、ゆきは


明らかに、自分が何に触れていたのか気付いていた。

見えないとわかっていても、ゆきの大きな瞳で見つめられた時、神はギクリとした。


気付かれたのだろうか。


神が、晶で無い事に。



その証拠に、それ以来―

ゆきは神と明らかに距離をおくようになっていた。

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