《MUMEI》

「あのね、晶」


私は、見えないけれど晶の顔の方に顔を向けた。


多分、私が晶を見上げているようには見えると思った。


「変な事、訊いてもいい?」





リィン


「あのね…」


(どうしよう、どうしよう)

私は言っておきながら、どう質問していいか迷っていた。


(どうしよう、どうしよう)

『溜ってる?』なんて訊けない


(どうしよう、どうしよう)

『欲求不満?』もおかしい。


(どうしよう、どうしよう)

散々迷って私は…


「晶、体大丈夫?」


と訊いた。


突然、変な質問をした自覚はあった。


なのに


リィン


晶はすぐに返事をした。


「本当に? 無理してない?」


リィン


(もしかして…)


質問が悪かっただろうか。

晶はただ単に体調の事を答えているのではないだろうか。


「あのね、晶。体調っていうのは…」


「あ、ゆき様。晶君。お昼ですよ!」


離れの方から、美幸さんの声が聞こえた。


(お昼にする話題じゃないよね)


「行こう、晶」


リィン


私達は離れの部屋に戻った。
それから、美幸さんの提案で、三人で部屋でお昼を食べた。

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