《MUMEI》 「私、変なの」 私は小声で美幸さんの質問に答えた。 「…変?」 「その…晶が、前美幸さんが言ったみたいに、その… 生身の男だなぁと、気付いて、から… 何か、落ち着かなくて」 まさか『触って確認した』とは言えなくて、何故気付いたか美幸さんに追求されたが、私は理由は言わなかった。 「晶君が怖くなったんですか?」 「ううん」 それはない。 晶は優しい。 「じゃあ何で避けてるんです?」 「前は平気だった事が、何だか恥ずかしくて」 今までは、簡単に手を繋いだり、甘えて抱きついたり、一緒に眠ったりできた。 それは、晶がただただ優しくて、男として反応することが全く無かったからだ。 反応するとしたら、精気という栄養が欲しい時だけだ。 唇を重ねていた時も、生き血を吸われた時も、あんな反応は…無かったはずだ。 上半身裸の私を見下ろす晶の全身を見た時、…チラッと見た下半身は、あんな風にはなっていなかった。 今の晶は、本物の人間のような反応をする。 よくよく思い出してみると、… あの時。 私が晶の体に触れた時も、眠っていたのに体がかすかに震えて… 『感じていた』ようだった 前へ |次へ |
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