《MUMEI》

「私、変なの」

私は小声で美幸さんの質問に答えた。


「…変?」

「その…晶が、前美幸さんが言ったみたいに、その…
生身の男だなぁと、気付いて、から…

何か、落ち着かなくて」


まさか『触って確認した』とは言えなくて、何故気付いたか美幸さんに追求されたが、私は理由は言わなかった。


「晶君が怖くなったんですか?」


「ううん」


それはない。


晶は優しい。


「じゃあ何で避けてるんです?」


「前は平気だった事が、何だか恥ずかしくて」


今までは、簡単に手を繋いだり、甘えて抱きついたり、一緒に眠ったりできた。

それは、晶がただただ優しくて、男として反応することが全く無かったからだ。
反応するとしたら、精気という栄養が欲しい時だけだ。

唇を重ねていた時も、生き血を吸われた時も、あんな反応は…無かったはずだ。
上半身裸の私を見下ろす晶の全身を見た時、…チラッと見た下半身は、あんな風にはなっていなかった。

今の晶は、本物の人間のような反応をする。


よくよく思い出してみると、…


あの時。


私が晶の体に触れた時も、眠っていたのに体がかすかに震えて…


『感じていた』ようだった

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫