《MUMEI》 「一緒にいると、ドキドキするの。 …変よね」 晶は剣の分身で、人間ではなくて 主の私を守っているだけなのに。 晶が本物の人間みたいな反応をするから、私も変に意識してしまう。 (こんなのは、おかしい) まるで、今の私達は、『ただの男と女』のようだった。 『することは一つだろう?』 (違う違う!) 不意にいつかの神君の言葉を思い出してしまった。 「変じゃなくて… 『恋』じゃないですか?、それ」 美幸さんまで変な事を言うから、私は絶句した。 (恋って…) 「私が、晶に?」 「そう見えますけど?」 … これが? 落ち着かなくてドキドキして、わけのわからない気持ちが? 「何か、…違わない?」 恋は普通『あの人かっこいい』とか『素敵』とか、そういうはっきりした『大好き』という気持ちではないだろうか。 あの、神君の周りにいた『桃色軍団』みたいに。 彼女達は神君が側に来てくれたら嬉しくて仕方ないだろう。 晶が側にいるのにこんなに気まずい感じの私とは、違う気がした。 「違いませんよ。 ひょっとしてゆき様? …初恋ですか?」 前へ |次へ |
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