《MUMEI》

私は頷いた。


「これは恋とは違うと思うけど…」

「じゃあ、もし仮に晶君が他の女といたら、どう思います?」


(そんな事…)


「考えた事も無い」


晶は、私の剣の分身だから、ずっと側にいてくれていたし。


「じゃあ、考えて下さい」

「難しい」


想像できない。


「ゆき様のお世話をいつも通り済ませてから、晶君は部屋に戻りました」

「? うん」


それは、想像できる。


「部屋には、女性が待っていました」


「え?」


(何その展開?)


「女性が手招きすると晶君は服を脱ぎ始めました」


「えっ?」


「布団の中の女性は既に裸です。

裸の晶君が彼女に近付きます」


「美幸さん?」


美幸さんは更に続ける。


「ゆき様に触れられなくて溜っていた晶君は、我慢の限界です。

すぐに女性に抱きつきます」


美幸さんの話は作り話だろうとは思っていたが…


何だか変に現実味があった。


可能性は、皆無では無いから。


「晶君は女性と濃厚なくちづけをして、彼女を押し倒しました」

「…だ」


聞きたくない。


「そのまま二人は…」

「やだ!やめて!」


私は叫んでいた。

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