《MUMEI》 「今のは現実では無いけれど、あってもおかしくない事ですよ」 美幸さんは私の頬に触れた。 いつの間にか、私は泣いていた。 「嫌、嫌…」 「どうして嫌なんです? ちゃんと晶君は、ゆき様の言いつけを守って、側にいるから問題無いじゃないですか?」 「それでも、嫌…」 「どうして?」 美幸さんに追求されて、私は少しずつ自覚しながら、本音を言い始めた。 「晶が、私以外の女の人に触るなんて… そういう事するなんて…嫌」 「でも、晶君も男だから、仕方ないですよ。 触ってほしくないんでしょう? ゆき様は」 「違うの。触ってほしくないわけじゃないの。 …変なの」 「変?」 「前は晶に触れてもらえると、安心するだけだったの。 でも、今は、落ち着かないの。 ドキドキするの。 …でも、嫌じゃないの。 ただ…」 「ただ?」 「怖いの。…何かが変わりそうで」 それが何かわからないけれど、私は今までの晶との関係が崩れてしまいそうな気がした。 「それに… 晶が、我慢しているなら、こたえてあげたいけど… そういうのも、まだ怖いの。 晶の事が好きなのに、怖いの」 『晶の事が好き』 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |