《MUMEI》 妖しき月といふ名を草木も眠る丑三つ時。 物の怪──それと対峙するかのように向き合い、立つ者がいる。 その幼女は薙刀では敵わないと悟ると、一枚の札を印を結んだ右手に構え、何やらぶつぶつと唱えた。 そして札を物の怪に放つ。 すると。 呻き声を上げ、それは瞬く間に姿を消した。 「けしからん奴だ」 幼女はその姿にそぐわぬ口調で、独り言のように呟いた。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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