《MUMEI》
無銘、乱舞
ヒュン!
式夜の振るう一撃は正確に相手の急所を斬り、絶命させていく。
だがすでに体には軽くは無い傷も幾つか刻まれている。
「はぁ・・はぁ・・まだまだ!!」
キィン!
受け流し、返す刃で相手の首を斬り落す。
「・・こんな非常識な集団と一緒に動くんじゃなかった!!」
ドゴォン!!ドゴォン!!
爆炎が連続して起こり、周囲の闇を照らす。
「文句があるなら後退すればいいでしょう!!」
背中を合わせるように戦っている式夜が文句を言っているが・・
「そんなん知らんし!ウチはやりたいようにやる!!」
加速用の符を腕に展開し、「風姫」の騎士の剣戟を捌く。
「っく・・」
巴の言葉にやや怒りを感じながらも実力は信頼している。
少なくとも、背後を任せる事はできる。
「とはいえ・・この数は!!」
疲労も溜まってきている。
「式夜、要するに・・邪魔なの薙ぎ払えればOK?」
「無銘」の声がする。
「そうですね・・少し詠唱時間が稼げれば。」
「了解〜」
ギィィン!
鍔迫り合いを強引に中断し、意識を「無銘」に向ける
「無銘」が刀から形状を変化させていく。
「無銘・天牙。」
カシャン。
式夜の手には長大な剣。
刀身だけで長さは5メートルを超す。
「重く・・無い?」
今まで使っていた刀の形状の時と重さがほとんど変化していない。
「継続可能時間は・・5秒だ。それ過ぎたら元に戻るからな。」
「無銘」の言葉に頷きながらその剣を振るう。
切れ味は凄まじく、何の抵抗さえ感じず、刃の範囲にいる騎士達を切り伏せていく。
「2、1、0・・限界だ。」
一瞬にして形状が変化する。
「無銘・咬蛇。」
再び変化した「無銘」の形状は刃の付いた鎖。
「さぁ、式夜・・貴女の思うが侭に使いなさいな。」
「巴さん、伏せてください!!」 「ぇ・・ぇぇ!!?」
ジャララララララララ・・ザグググググググ!!
銘の通り、蛇の如きしなりを持って対象を刻んでいく。
周囲の敵を一気に傷付けていく。
猛毒を含んだ刃。
即効性の毒によって傷を負った騎士達が倒れていく。
敵との距離が空く。
「巴さん、10秒だけ時間を!!」

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