《MUMEI》 ◇◆◇ だが妖月は聞かなかった。 薙刀を振り翳し、物の怪を切り付ける。 そして、それが僅かに態勢を崩したのを妖月は見逃さなかった。 懐から抜いた、一枚の札。 「‥!」 物の怪にやられた傷が疼くのを堪えつつ頭だけを妖月の方に向け、狐叉は目を見張った。 「妖月‥!?」 それは今まで狐叉が見た事もない程の怒りに駆られた娘の姿があった。 妖月は荒んだ月色の瞳で物の怪を凝視し、札を印を結んだ右手に構え二言三言唱える。 札は淡い光を纏いそこに記された文字を浮かび上がらせる。 そして妖月は物の怪を目掛け、その札を放った。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |