《MUMEI》
プライド
「こんばんは。寝てた?」


「寝てない。ていうか、今晩も?」


あの電話から一ヶ月、昼間は学校で会って話して、夜になったら電話。
週末は土曜か日曜のどちらかは鈴木と会っていた。


「嫌?」


「嫌じゃないけど・・・」


実は嬉しいけど、あれだけ鈴木のこと絶対に無理とか言った手前、素直に楽しくお話できないんだよね・・・


「今週末どうする?」


「おまかせで・・・」


「お前ノリ悪いなぁ〜。せっかくのデートなんだぞ!」


そりゃ私だって雑誌見て鈴木と行きたいなって思ったりしてるけど、どうしても意地張っちゃうんだよね・・・。


「本当は楽しみたいくせに。素直じゃねぇなぁ〜」


さすが鈴木。
私の気持ちをお見通し・・・(汗


「俺はお前に自分の気持ちを態度で見せてるつもりだけど、お前はどうなんだよ?」


「どうって・・・」


そりゃ・・・付き合いたいさぁー。
けど変なプライドが邪魔して言えないんだよね。トホホ


「まだ良く分からない。鈴木のこと・・・そんな風に見たことなかったし・・・」


ギャー、私の大嘘つきっ!!!
実は最初から気になってたくせにぃー


「それなら・・・とりあえず付き合ってみる?俺と・・・」


うん・・・て言いたい。


「まぁ・・・じゃ、とりあえず付き合ってみようかな・・・」


あぁ。なんだよそれ。
素直に「うん」て言えよぉー
そのやる気なさそうなOKの返事・・・
自分のことながら、もどかしい。


「今、付き合うって言ったよな?」


「うん」


「やる気なさそうだったけど、嘘じゃないよな?」


実はかなり、やる気あるんです・・・


「嘘じゃないよ・・・」


鈴木は嬉しそうに電話の向こうで笑っていた。


「じゃぁ、今週は梅小路公園に行こうぜ!」

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