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《MUMEI》 ◇◆◇ 時は寅の刻を回った。 「‥‥‥‥？」 狐叉は瞼を開けた。 眠っていた妖月が突然、声を出したのだ。 狐叉は、ぴくり、と白い耳を動かしたものの、それは聞き取るにはあまりに朧げな声だった。 空耳かと思い、狐叉は瞼を閉じる。 「────狐叉‥」 「？」 今度は、はっきりと聞こえた。 妖月が狐叉を呼んだのだ。 「‥‥どうした」 問いかけるや否や、妖月は縋るように狐叉にしがみついた──かと思うと、また安らかな寝息を立て始めた。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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