《MUMEI》
嘘つき
「…本当に?」


「はい」

リィン


私の問いかけに、戻ってきた二人は頷いた。

晶は…

鈴を一回鳴らしたと言う。
それは、つまり―


『我慢などしていない』

『大丈夫』


という意味だ。


「…そう」


(嘘)


「なら、いいの」


(嘘つき)


私は本音を飲み込んで、それ以降はこの件には触れなかった。


晶に求められず、安心する一方で、私は落ち込んだ。

やはり私の体が汚れてしまったから、だから晶は私に触れたく無いんだと思った。


夜、晶が隣の部屋に戻ると、嫌な妄想が頭をよぎる。

美幸さんが言ったように―

私ではない、綺麗な体の女の人を相手にしているのでは無いか、―と。


(晶の、嘘つき)


ちょっと触っただけで、反応するのに『大丈夫』なんて答えて


そんなに、私が嫌?


触りたくない?


イライラする


いっそ、晶の部屋に忍び込んでしまおうか…なんて、馬鹿な考えが浮かんだ事があった。


でも


そこまでして、拒絶されたら立ち直れないから―


実行は、しなかった。


(それもこれも、晶が嘘つきなのが悪い!)


しかし、私は頭ではわかっていた。


本当は―

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