《MUMEI》

同じ頃。


「いましたか?」

「いいえ、神音様」


御鏡の屋敷は、騒然としていた。


皆、『ある者』を探していた。


「おかしいわね」


神音は首を傾げた。


御鏡の直系は、皆、この屋敷にいるはずだ。


なのに… が、見つからない。


その時。


神音の脳裏に、浮かんだのは…


「御剣に、連絡をとりなさい」


「しかし、あの者は…」


「いいから!」


ここにいないということは、可能性があるのは


「ゆき…なの?」


神音は、姉の神那に瓜二つの姪の名を呟いた。


そして、神音は立ち上がった。


「お待ち下さい!
いけません!」


それは、御鏡の当主だけが授かる能力。


しかし―


今の、神音には、負担がかかる。


「一度位なら、まだ大丈夫です。

もう誤魔化されるのは沢山です。

迎えに行きます。

…あの子は、ゆきは、御鏡の子です」


神音は目を閉じた。


そして


御鏡の当主の間から、神音の姿は―


消えた。

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