《MUMEI》

『無い』と答えようとした。

(熱っ…)


額の中心が熱い。


私は思わず額を押さえた。

「ゆき?」


「失礼します。…ゆき様?」


「み、…ゆき、さん?」


美幸さんと、白衣を着た医師らしき男性が現れた。


「「先生!」」


神君と美幸さんに急かされて、慌てて医師は、私の手を退けて、額に触れた。


「これ、…は?!」


(何?)


私は顔を上げた。


(う…?)


いつもより、紫がはっきり見えた。


(気持ち悪い)


私は、思わず口に出していた。


「消えて」


―と。


すると、パチンと音がして、紫が消えた。


気分も落ち着く。


「何だ? 今の音は?
それより…ゆき、それ…」

神君は私の額を指差した。

医師が言った 『これ』


神君が言った 『それ』


「う…そ…」


(どうして?)


その時。


「やっと見つけた。

…やっぱり、直接来て正解だったわね」


突然部屋の中に現れたその人に、全員が驚いた。


私は、目を丸くしながらも、その人の名前を口にした。


「神音、様…?」


「そうよ。

やっぱりあなたが

私の後を継ぐ御鏡の『守護神』なのね」

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