《MUMEI》
過ぐる時を思ひて
◇◆◇

 狐叉は妖月の傍らで己の持つ七つの尾を振り返り、それをゆらりと動かした。

 それを見つめつつ、どれ程の歳月を過ごして来たのだろうと思う。

 狐叉は微かに瞼を震わせ、だがすぐに傍らの幼女に視線を落とす。

 妖月はまだ幼い。

「──────」

 狐叉は目を細め、妖月の黒髪に触れた。

◇◆◇

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