《MUMEI》 最後の日「御鏡の…神音、様?」 私と神音様のやりとりを見ていた美幸さんは、未だに動揺していた。 「そうです。あなたは?」 「ゆき様の世話役で、美幸と申します」 それでも、美幸さんは神音様の質問にすぐ答え、頭を下げた。 私の側にいた医師も、美幸さんの隣に移動し、頭を下げる。 「どうして… どうやってこちらに?」 美幸さんは恐る恐る質問した。 「神音様も、瞬間移動ができたのですか?」 私も、口を開いた。 「えぇ。御鏡の当主になる者には、この能力があるの。 …私は、体に負担がかかるから、滅多にやらないけどね」 「大丈夫なんですか?」 そう言われてみれば、神音様は、顔色が悪いように見えた。 「平気よ」 「…離れにいらした事があるとは、意外でした」 笑顔を作る神音様に向かって、神君が話しかけた。 「来たことはないわよ」 「「え?」」 私と神君は、同時に驚いた。 瞬間移動は、危険区域以外は、自分が行った場所にしか行けないはずだった。 「御剣と御鏡の違いはそこね。 御鏡の瞬間移動は、御鏡の力を持つ者のいる場所へ行く事ができるの。たとえそれが初めて行く場所でもね」 前へ |次へ |
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