《MUMEI》
最後の日
「御鏡の…神音、様?」

私と神音様のやりとりを見ていた美幸さんは、未だに動揺していた。

「そうです。あなたは?」

「ゆき様の世話役で、美幸と申します」


それでも、美幸さんは神音様の質問にすぐ答え、頭を下げた。


私の側にいた医師も、美幸さんの隣に移動し、頭を下げる。


「どうして…
どうやってこちらに?」


美幸さんは恐る恐る質問した。


「神音様も、瞬間移動ができたのですか?」


私も、口を開いた。


「えぇ。御鏡の当主になる者には、この能力があるの。

…私は、体に負担がかかるから、滅多にやらないけどね」


「大丈夫なんですか?」


そう言われてみれば、神音様は、顔色が悪いように見えた。


「平気よ」


「…離れにいらした事があるとは、意外でした」


笑顔を作る神音様に向かって、神君が話しかけた。


「来たことはないわよ」


「「え?」」


私と神君は、同時に驚いた。


瞬間移動は、危険区域以外は、自分が行った場所にしか行けないはずだった。


「御剣と御鏡の違いはそこね。
御鏡の瞬間移動は、御鏡の力を持つ者のいる場所へ行く事ができるの。たとえそれが初めて行く場所でもね」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫