《MUMEI》
―――感情
「痛くない?」
「…うん、大丈夫…」
手の平を広げ、俺は確りと隆志の背中にしがみつく。
瞼を閉じたまま、指が挿るそこに、力が入らない様俺は真剣に呼吸を整える。
「…動かすよ?」
頭だけを動かして頷くと熱い指が躰の中でゆっくりと動き出した。
痛みはない、苦しさもない。
なのに段々と目頭が熱くなる。
切なくて切な過ぎて堪らない。
「たかしぃ…、ヒクッ…隆志、それ……ハァ…、、隆志…助けて…」
耐えきれなくなって気持ちが弾けだした。
すると躰から指が抜けきつくきつく抱きしめられた。
俺の背中をあやす様に撫でながら
「ゴメン、怖かったな、ゴメン…」
「違う、違う、止めないで…、怖くないから」
隆志は俺の溢れ止まらない涙をキスで何度も拭う。
――俺を求めながらも、様子を伺われているのが
…凄く分かる。
躊躇されているのも…。
隆志、俺の事抱くのもしかして怖がってる?
「…お願い、もう躰辛い」
「加藤…?」
俺は隆志の股間に手をのばし握った。
「早くシテ…、イかせて…隆志が欲しいよ」
するとその手を掴まれ、ギュッと握りしめられた。
「有難う、ゴメンな、好きだよ、惇…」
「…うん」
始めて名前で呼んで貰えた。
「隆志」
「ん、」
「好き過ぎて怖い…、好き…」
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