《MUMEI》

恥ずかしくて心が切なくて背中にしがみついたり、枕の端を引っ張った。








身の置きどころがなくてどうしたら良いのかわからなくて涙が止まらなかった。









数本の指先ですっかり慣らされたそこ…。







恥ずかしい音、時々訪れる、強烈な刺激。





訳が分からなくなって自分でも意味不明な台詞を吐き続ける。





枕の端に繋がる俺の指先に隆志の指が触れ、自然にそれが絡みあった。








俺を真剣な表情で見下ろしている。







俺はいいよって言う代わりに残った腕を隆志の首に回し、初めて俺からキスをした。





「ンっ…、ふっ…」





隆志の手をきつく握りしめ、背中にしっかりと掴まりながら俺は隆志をゆっくりと受け入れていく…。




「苦し……ぁっ、ふぅう…」




「惇、力抜いて…」



耳を軽く噛まれながら静かに言われる。







やっぱり怖い、怖い、だけど…





だだっ子みたいに苦しがったり止めないでって叫んだり。






隆志はそんな、てのかかる俺にたくさんのキスをして、たくさん全身を撫でてくれた。










気持ち良いとか痛いとか何も分からないままいつの間にか俺は意識を失っていた。







ふと気が付くと俺は隆志のたくましい腕の中、厚い胸板に収められていた。






部屋の入り口にあるダウンライトの僅かな灯りの中、隆志の整った寝顔が無防備に晒されている。





長めの前髪が額にはりつき、俺は指先でそこに触れた。







――好き。




どうしよう…もう好きなの止められない、











――離れたくない。







汗で濡れたシーツさえ心地よくて俺は隆志の背中に腕を回した。





そして俺は隆志の規則正しい寝息に吸い込まれる様に、俺は隆志の胸に顔を埋めたまま、再び眼を閉じた。











自然な睡魔なんて…








何日ぶりだろう?

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