《MUMEI》
紅い雷の意味
「・・・今の。」
「恐らく・・黒服の女だろう。」
紅い雷。
一瞬、戦闘が止まるほどの衝撃があった。
「風姫」の騎士は未だ、雷が落ちた辺りを向いている。
「隙だらけだな・・」
ドシャ・・ドシャ・・
その言葉が言い終わらないうちに10人近くの騎士が命を失っていた。
「・・・・・」
無言でレイは「プリヴェン」を振るう。
無表情だった顔に、揺らぎが生まれている。
「・・死んでは居ないようだ、符術士が連れて離れたか。中々いい判断をする。」
どうでもいいとばかりに口にする言葉に、レイが微笑を一瞬だけ浮かべた。
「ありがとう。」
「戦況を確認しているだけに過ぎない。」
二人の戦いは役割が分担されている。
攻撃専門のシンギと防御専門のレイ。
敵からの攻撃をレイが氷の盾で防ぎ、動きを妨げる。
それを瞬間で葬っていくシンギ。
時に、氷で足場を作り、
時に、「蒼海」が呼び出す水を「プリヴェン」で凍りつかせ。
互いの動きを読むのではなく、自分が全力で動けば、自然と相手の動きと合う。
「・・・ようやく、役者が揃ったな。」
シンギが見上げる先、禾憐の呼び出した鳥が飛んでいる。
「そうね。」
頷く、レイが見る先にはオデッセの部隊。

「な・・」
紅い雷が落ちた。
それは見ていた。
だが「紅い雷」など・・
「被害状況は!!」
知らない。
そんな魔法は・・知らない。
「解りません・・ですが、軽視できるレベルでは!!」
「甘く見すぎていたというのか・・」
一刻も早く、アルトレアの部隊との合流。
たかが二桁にも満たない者達など、迎撃しながらで十分勝てると・・
「全員、反撃せよ!!「風姫」の威信にかけて・・後方に迫っている部隊共々、殲滅せよ!!」
「リディルの左腕」を発現させながら、ヴィアは声を上げる。
自身の認識の甘さを悔やみながら、馬を飛び降り、黒い暴風となって敵へと突撃する。

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