《MUMEI》

教室に戻り、おれはかばんを取って、
引き返そうとまた教室を出た。


すると、



「かなめちゃん!!」



男の呼び声と共に、腕を掴まれた。



「うぉあっ!?」



驚いて、変な声が出た。


誰だ…??



後ろを振り返ると、


そこにはにっこりと微笑むイケメンが。



「かなめちゃん、
…元気そうで良かった」



そう言って、おれの両手をそっと握る。



―…えーと………





ダレ??




んー…

なんか見たことある気がする…



「…か、かなめちゃん…??」



ふいに、そいつが口を開く。



「ん??」


「…顔、近いよ??」


「―…へ??」



ありゃ、ほんとだ。


後ろに一歩下がる。


だって、よく見えねえんだもん…



目がぼんやりする。


…てか、おれ用事あんだって!!



「えーっと…
用事無いんなら、忙しいんで…」



そう言うと、



「あ、ごめん!
…でも、心配だったから…」



と、そいつは困ったように笑った。



「…はあ、そりゃどーも…」



そう答えると、


そいつはまた笑って、



「うん。じゃ、日曜日にな!!」



と、手を振りながら去っていった。


おれは、そいつが去ってしばらくの間、
その場にぽかんと立ち尽くしていた。



…にちようび…??



―…なんだったんだ、あのイケメンは…

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