《MUMEI》
昼休み 〈私〉
もー…


椎名くんが寝るから、
私が怒られたみたいじゃない…


1限目の休み時間。


私はやることも無く、暇をもてあましていた。


すると、



「みつる!!」



瀬田くんの顔がいきなりどアップで目の前に。



「っうわあ!!」



驚いてイスから落ちそうになった。



「…なんだよ、大丈夫か〜??」



瀬田くんが笑いながら
私の前の席のイスに腰掛ける。



「…みつる、腕…大丈夫か??」



ふと、瀬田くんが心配そうに言った。



「え?…ああ、大丈夫だよ。
ありがと、心配してくれて!」



そう言うと、



「…そっか!!いや〜、マジで心配だったんだけど、
お前が目え覚ますまで、
ずっと病院にいる訳にもいかなくてさあ!!
お前がなかなか起きねえから、帰っちゃったんだよ。
どーしても抜けられないバイトがあってさ〜」



と、瀬田くんは調子を一変させて、一気に喋った。


そうだ。瀬田くんはあの現場に居たんだ―…



「へ、へぇ…、そっか」



…この学校、バイト禁止だけど…




「―…でもさ、一度は顔出そうと思って、お前んち行ったんだぜ??」



瀬田くんが伸びをしながらそう言う。



「…したらさ、蓬田さんと並んで帰ってくるからー、
気ィ利かせてそのまま帰ってあげたの!!」



伸ばした手を下ろしながら、瀬田くんは笑った。


瀬田くんも、私と椎名くんのこと
何か勘違いしてる―…



「オレに感謝しろよ??内申のコトとかもさー」


「…はは…」



へんな苦笑いしかできなかった。



「ま、ネコも蓬田さんも無事だったんだし!
お前もそん位の怪我なら、空手できるしな!!
…うん、よかったよかった!!」



そう言って、ぽんぽんと私の肩を叩くと、
瀬田くんは立ち上がり、自分の席に戻ろうとした。



「―…あ、待って!!」



呼び止めると、瀬田くんは、ん??と振り返った。



「…ネコのこと―…
聞きたいんだけど」

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