《MUMEI》

待ってろって言われたので、
廊下の壁に背を預けて椎名くんを待つ。


…それにしても…



高い目線って、気持ちいーな…

椎名くんは、いつもこんな景色を見てるんだなぁ…


そんなことをぼんやり考えていると、



向こうから歩いてくる『私』――椎名くんを見つけた。


あれ??

なんか皆ついて来てる…


椎名くんは、そのまま
つかつかと私に歩み寄ると、


私の左腕を掴んだ。



「行くぞ」



とささやいて、


椎名くんは、私の腕を掴んだまま、走り出した。

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