《MUMEI》

婁塙の体に傷はなく、とても優しい笑顔をしていた。


「紫吾、私はあなたのこと悪く思っていませんよ。

私は紫吾に殺された訳ではありません。あの時自分で死にその指輪に私の意識を少し入れたのです。

私は死んではいませんよ。ずっとあなたの側にいたんですよ。」


婁塙は優しく微笑み、両手で紫吾の顔を触った。


紫吾も左手で婁塙の手に重ねた。


紫吾は涙を流しながら、右手につけている指輪を見た。

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