《MUMEI》

「…なんか寒い」

「あ、冷えたか?温めてやる」



二人で羽毛布団を首まですっぽり被って俺は隆志の中にすっぽり収まる。





身動きがとれない位絡みつく腕と脚。




「な、あのバック異常に重いんだけど何入ってんだ?」




「何も?服とノートだけ、ブログの更新あるし」





「…服何日分入れたの」




「分かんね、多すぎて圧縮袋入れまくったから…」

なんか疲れちゃって暫く実家に帰るつもりだった事を正直に話す。

あと最近情緒不安定で、精神科を受診した事も話した。


ゴメンって何度も謝られる度に隆志のせいじゃないからって言って…。

医師に少しパニックの気が出てるかもって言われたけど、もしかしたら睡眠不足のせいかもって事で、気持ちを落ち着ける薬と睡眠薬をとりあえず貰ってきた事を話した。


薬効き目あったかって聞かれたけどまだ飲んでないって言った。

だってこの薬って一端飲み始めるとなかなか辞められなくなるから。上京前に情緒不安定な時期があって飲んでいた時があった事も正直に話した。



そこまで言うと、隆志はそっかって言って後は黙って俺を抱きしめてくれた。


自分だけが全裸で隆志は浴衣を着ている。
ずるくないか?ってあまり深い意味も無く言うと、隆志はわかったわかったって言いながら布団の中でモソモソ浴衣を脱いでしまった。

そしてパサッと無造作にベッドの下に落とすと、
少し悪戯な表情を浮かべ俺の上にのしかかってきた。

「あっ…」

肌を唇でなぞられ、
俺は隆志の首に柔らかく腕を回す。

「仕事は?時間平気なの?」
「まだ平気…、ギリギリまで一緒に居よう」

深いキスを何度も交しながらきつくきつく抱き合った。


やっぱり俺が怖がっているのを分かって隆志は俺を抱かなかった。
何だか悪くて無理矢理口で頑張ったりはしちゃったけど…。
下手なのか何なのか全然イかせらんないし顎が痛いわでめっちゃ落ち込んでしまった。

「ゆっくりいろんな事教えてやるから、一緒にエッチになろ?」

「うん…」

ギリギリまでのんびりしすぎた俺達は慌ててチェックアウトし、それでも俺のマンションまで隆志は送ってくれた。


「仕事終わったら速攻来るから」



「うん…、待ってる」
「あと…、内藤君とは俺が話しつけちゃっても良いよな?」

圧縮袋の中の服をタンスにしまいながら今日は裕斗に遠慮してもらおうと考える。
いつも遠慮してやってるんだからたまには良いでしょ!

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