《MUMEI》
非常階段 〈おれ〉
蓬田は、すごく嬉しそうにタルトを食べた。


おれは、甘い匂いに少し気持ち悪くなった。



おれが『西城先輩』のことを話すと、
蓬田は、すげえ嬉しそうに笑った。


なのに、日曜日がどうとかって話をすると、

途端、蓬田は泣きそうになった。



ん??


もしかして―…



「…日曜日、その、先輩とお祭り行く約束してて…
―…どうしよう…このままじゃ―…」



蓬田の言葉に、確信を持った。



…そっか。なるほどな。

俯く蓬田に、声を掛ける。



「―…わかった!!」



蓬田が顔を上げる。



「おれが、なんとかする!!」




…だってお前、『西城先輩』のこと―…




…好きなんだろう??

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