《MUMEI》

「まずは、戻る方法を全力で探す。
んで、もし日曜までに戻れなかったら…」



戻れなかったら?と、蓬田が先を促す。



「…戻れなかったら、そんときは―
―…おれが代わりに、祭り行くよ」


「で、でも…!!」


「心配すんな!どーにかなるって!!」


そう言って、蓬田の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

…いや、おれの頭だけど。



「…うん」



ぐしゃぐしゃになった髪を整えながら、
蓬田は小さく頷いた。



「よし!!取りあえず腹ごしらえな!!」



そう言って、おれはかばんから弁当を取り出す。


…ちっちぇえな、この弁当箱…



ふと横を見ると、
蓬田が困った顔でこっちを見てる。



「…蓬田、弁当は??」


「…誰も起きてなくて…
買おうかなって、思ってたんだけど…」



…蓬田。


もし、おれのおふくろが起きてたとしても
弁当は作ってもらえねーぜ??



「…んー…、じゃー半分こすっか!!」


「え!?いいよいいよ!!
私タルト食べたしお腹いっぱ…」



グ〜…



蓬田は、顔を真っ赤にして俯いた。

なんでこんなにナイスタイミングで腹が鳴るんだ!?



可笑しくなって、つい笑ってしまった。

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