《MUMEI》
そして・・声は響く
「・・天堕ちる者・・我が血を糧にその力を示せ。紅き刃を纏い・・」
詠唱に合わせるようにハンディングが一本のナイフを抜き放つ。
「全てを焼き滅ぼせ、愚者に安らぎと永遠の苦痛を。願わくば・・」
ゾブリ・・自身の体にナイフを突き立てる。吹き出す血は・・地に落ちる前に消えていく。
「コレが終末ではなく、黎明の鐘とならんことを・・ブラディクロウセル・ウェル・クワト!!」
魔術・・それは何かを代償に、威力を数倍に跳ね上げる。
魔力、血・・
代償として痛みが全身を苛んでいく。
昏い刻印が音を立てて・・ハンディングの体を侵食していく。
それでも・・ハンディングは放出する魔力を緩めず、真っ直ぐと自分が信じるモノを貫くために。
放たれた、紅い雷は・・
見た者全てを圧倒し、その轟音は全ての喧騒を吹き飛ばし・・戦場を静寂へと誘った。

「「鎮魂の鐘よ・・鳴り響け。届かせよ、その言葉!!」」
ハンディングが放った雷の轟音の中、詠唱は続く。
「「神々の祝声!!」」
轟音が消え去ると同時、アイズとキティホークの精霊術が発動する。

「双方、即刻軍を退きなさい!!これ以上の戦闘は無意味です。繰り返す、即刻武器を収めなさい!!」
魔法によって彩詩の声が戦場に響き渡る。
誰もが困惑している。

「バンプ〜戦闘終わりだってさ。」
「みたいだな。」
戦場を駆け抜けながらバンプとごまは頷きあう。
「あ!居た、居た!!式夜〜」
すでに式夜は「無銘」を鞘に戻し、静かに座っていた。
「無事だったんですか、バンプ副団長、ごま。」
「なんとかな。」 「きゅ、元気一杯だけど・・お腹減ったきゅ〜」
「なんや・・みんなだらけてるな・・」
そう呟いている巴も式夜の横で座っている。

「・・・・どうする?」
「・・俺は信じてみるよ。」
「リオレイアテイル」を鞘に収め、その場に佇む狩月。
「やれやれ・・仕方ないな。じゃ俺もそうする。」
弓を収納し、どっかと座り込む琴。
「賛成〜疲れるのは嫌いだしな。」
「彩詩様がそう言ってるから私はそれに従う!!」
ボンカー、想花も同じように地面に座り込む。
「だぁ〜・・俺ももう疲れて動けないぞ・・」
ロシュもその場に寝転がった。

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