《MUMEI》
千夏の恋
「えーと…それで何の話だったの?」


私は恐る恐る千夏に聞いてみる。


「もう愛加ったら!仕方ないなぁ。今度はしっかり聞いてね」


千夏はそう言いながらも、イキイキとした顔で話し始めた。


「最近、取引先の営業マンと仲良くなったの。愛加も早く次の恋したいでしょ?だから彼にコンパを頼もうかって話」


その話に美幸が付け加えて言う。


「男を忘れるには新しい男だものね!」


そして千夏が愛加に同意を求める。


「ね!愛加。名案だと思わない?」


「さては千夏、その営業マンの彼を狙ってるのね!」


私がそう言うと、図星だったのか千夏が顔を赤くし、


「最初に会ったときにピピッときた感じ?って言うか、話してても本当に楽しいのよ。これが一目惚れってやつかしら?」


楽しそうに話す。


「つまり私をダシにして彼との距離を縮めようって魂胆ね!」


ちょっと意地悪く言うと、


「あー、ごめん!それもあるけど愛加と美幸のことも考えてるんだからぁー」


千夏は焦って弁解する。


「三人で幸せになろうよぉ〜」

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