《MUMEI》
裕斗視点
「その花は一体何だ」





「惇に貰ったんだ、どうしても引き取って欲しいって」





俺は秀幸に経緯を話すと





「はー、だからって何で俺のマンションに持ってくんだよ」





「だって水あげんの面倒くさいじゃん、それに綺麗だろー?花瓶どこ?」





やれやれみたいな感じで秀幸はキッチンの扉から花瓶を出した。





「自慢じゃないけど、俺鉢植えの花にコーラあげて枯らした事あるし!」





「アホかー!そんなん自慢になんねーよ!
あー良かったなお前達俺ん家に来て〜、俺がちゃんと水とっかえてやっからな〜」






秀幸は花瓶に花束を移し、花の盛り合わせのスポンジみたいなのに水をあげた。
あれ?水要らないって聞いてた様な…






気のせいだよな、水あげなきゃ枯れちゃうもん!







「で、本気で飯作ってくれんのか?」





「うん!テレビでも見てて待ってて!」





怖いけど楽しみだな〜なんて言いながら秀幸は俺がプレゼントしたDSをやりだした。







惇と一緒に作った時意外と簡単だったクリームコロッケ!






先にレタスをちぎっといてザルに入れておく。





これでコロッケが完成する頃には水がきれている!





俺ってなんて手際良いなんて思いながらバター溶かして小麦粉練って牛乳でのばす。







カニの缶詰と塩、味の素入れて漸く味見…。





「完璧!マジ美味い!」






「何だ?出来たのか?」





秀幸はモソモソソファから来た。





「まだ中身だけ!ほら美味い!」






スプーンですくって秀幸の口の中に入れる。





「うわ!本物の味だ!ゆうちゃんやるなあ、こりゃ楽しみだ」










――ここまでは良かった…。

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