《MUMEI》

「あなたの力が強いのはわかります。

しかし、どれほど人に近付こうが、あなたは人ではありません。

なのに、何故あなたが当主になったのか、私は最初から疑問でした。

それでも、あなたの主が当主を続けられない状況にあると言うから、納得したのです」


そこまで言って、神音様は神君を見た。


「…どう見ても、当主を続けられないようには見えないのですが?

それに、何故彼がゆきの側にいるのです?」


その言葉に、神君が怯えたのがわかった。


「順番に説明致します」


「私は、両家の平和の為に、普段はあえて御剣の『守護神』の感情は見ないようにしてきました。

しかし、ゆきや今回の件に関しては、あなた方はあまりにも御鏡に対して礼を欠いています。

ですから、『真実』をお話下さい」


『嘘をついてもすぐにわかる』


神音様の言葉は暗にそう言っていた。


そして、『神様』は、全てを神音様に告白した。


…包み隠さず、真実を。


「…何て、事を」


神音様はそう言うと、立ち上がり、私の手を取った。

「…今すぐここから出ますよ、ゆき」


「いいえ、神音様」


私はその手を振りほどいた。

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