《MUMEI》

「何故です!」


興奮する神音様に、私は告げた。


「美幸さんに、挨拶をしないと」


「えっ? …あぁ…そう。 そうね」


「ここに、呼んでいただけますか? 『神様』」


私が部屋を出ると、神音様はまた心配するだろう。


だから、私は美幸さんにここに来てもらう方がいいと思い、提案してみた。


私の考えに同意した『神様』は、すぐに頷き、神君に美幸さんを呼んでくるよう指示を出した。


(変な感じ)


主の神君が、剣の分身の『神様』に従う光景に、私は違和感を覚えた。


『神様』は、神君の命令で当主らしく振る舞うよう言われているかららしいが…

「連れて参りました」


あの神君が、『神様』に敬語を使うのは、やはり違和感があった。


「美幸さん」


私は、神君の側で不思議そうにしている美幸さんの手を取った。


「ゆき様?」


「今までいろいろありがとう。
私は、これから、御鏡に行く事になったの」


「えぇ?!」


当たり前だが、美幸さんはこの急な私の言葉に驚きを隠せなかった。


「それでね、荷物、後で送ってくれる?」


「はぁ…そこだけ現実的なのは、ゆき様らしいですね」


「本当ね」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫