《MUMEI》 「何故です!」 興奮する神音様に、私は告げた。 「美幸さんに、挨拶をしないと」 「えっ? …あぁ…そう。 そうね」 「ここに、呼んでいただけますか? 『神様』」 私が部屋を出ると、神音様はまた心配するだろう。 だから、私は美幸さんにここに来てもらう方がいいと思い、提案してみた。 私の考えに同意した『神様』は、すぐに頷き、神君に美幸さんを呼んでくるよう指示を出した。 (変な感じ) 主の神君が、剣の分身の『神様』に従う光景に、私は違和感を覚えた。 『神様』は、神君の命令で当主らしく振る舞うよう言われているかららしいが… 「連れて参りました」 あの神君が、『神様』に敬語を使うのは、やはり違和感があった。 「美幸さん」 私は、神君の側で不思議そうにしている美幸さんの手を取った。 「ゆき様?」 「今までいろいろありがとう。 私は、これから、御鏡に行く事になったの」 「えぇ?!」 当たり前だが、美幸さんはこの急な私の言葉に驚きを隠せなかった。 「それでね、荷物、後で送ってくれる?」 「はぁ…そこだけ現実的なのは、ゆき様らしいですね」 「本当ね」 前へ |次へ |
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